コミュニケーション|夫婦は喧嘩しないほど、仲がいい!Vor2
こんにちは! 家事シェア研究家の三木です。
前回は「夫婦対話の作法」として、コミュニケーションをとるうえで大切にしなくてはならない姿勢のお話を書きました。
今日はその続きになります。 まだ前回の記事を読んでないよ、という方はぜひ合わせてお読み下さい。せっかくの夫婦での対話がすれ違ってしまわないために、ほんの少しだけ気をつければいいことを書いています。
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夫婦コミュニケーションの手法は、ちょっと調べればたくさん出てきます。 どの手法が正しくて、どれは間違っているということはなく、どれも悩んでいる人の力になってくれるはず。
ですが、たとえば家事シェアでよく言われる「夫を褒める」「感謝を伝える」「まずは相手の話を聞く」など、ためしてみるけど上手くいかない、面倒くさい、と感じることがあります。
それは、対話をする上での軸と作法がしっかりしていないことが原因。
手法(ノウハウ)は、あくまでも武器。 それを扱う対話の体幹がしっかりしていないと、せっかくの手法も空回りしてしまいます。
前回書いたのは、対話の作法について。 作法とは言わば「型」。それは対話をする上での態度であり姿勢でもあり、言葉よりもストレートに相手に伝わるコミュニケーションでもあります。
対話は「言葉」だけでするものではありません。 対話がうまくいかない、という場合はまずはこの作法だけでも意識してみてください。
そして、今回書いていくのが対話の軸について。
まさに体幹そのものです。ここがしっかりしていれば、色んな対話のノウハウも効果的に活用できるようになる。10年以上、たくさんのご夫婦の対話を目にしながら、ぼくはそう思いました。
▶ 対話の軸とは
「対話の軸」とは、
「絶対に大丈夫、どんな課題も乗り越えられる」とお互いを信じる力
のことです。
シンプルで当たり前のようですが、この軸が揺らいでくると、どれだけ対話の手法を学んでも上滑りしてしまいます。
では夫婦での対話がうまくいっている状態とは、どんな状態でしょうか。 それを端的に表している図があります。
青い図の左と右を見比べてみます。
意見が対立すると、「あなた」VS「わたし」という争いになりがちです。まさに左側の図の構造。対話をしていてこういう構造になってしまっていたら、それは対話がうまくいっていない証です。
それに対して右側。「あなた と わたし」VS「課題」という関係。 意見の違うふたりが敵同士ではなく、課題解決のための協力関係を持って、ともに立ち向かっていく。
こうした構造で対話をすることができれば、夫婦の対立や議論は仲違いの原因ではなく、信頼関係を構築するプロセスにすらなっていきます。
ひとつ、事例を踏まえて考えてみます。
【困った! 夫婦で意見が割れた! 事例】
子どもの小学校(幼稚園・中学校)受験。 勉強に力を入れている私立の学校への受験をするか、子どもの主体性を重んじて自由なカリキュラムの学校を選ぶか。夫婦で意見が真っ二つに割れました。 自分たちならどうする??
子育てをしていると、正解のない課題に意見が割れることがあります。
① 教育観の違い:勉強しっかりか、自由にか ② ゲーム、スマホ問題:いつ持たせる?ゲームやらせる? ③ 習い事問題:習い事たくさんやらせるか、どうするか?
この3つが、とくにモメることの多い3大事案と言われています。 夫婦それぞれの価値観や教育観の違いが如実にあらわれる事案。
各々にとっての正解は、きっとある。 自分の経験から、小さい頃から勉強をゴリゴリやらなくても大丈夫だと思う人もいれば。様々な研究結果を持ち出して、小さい頃から勉強をしっかりやらせたほうがいい、という考えもあるかもしれません。
こうしたとき、ヒートアップした感情を抑えて課題の本質を一緒に話し合えるでしょうか。
たとえば受験させるか、させないか。A校にするかB校にするかは、その課題を解決するための手段なはずです。
・子どもの性格や特性はどう? ・子どもと一緒に描いた将来像はある? ・わが子にとってのベストってなんだろう?
問題の本質を洗い出して、テーブルに並べ、一緒にいい方法を考える。 論破ではなく、ともに導き出した答えであれば、答えがAでもBでも納得感の強いものになります。
また、この姿勢が取れると夫婦の価値観の違いは、課題解決のための材料になります。材料が多いほど、多様な価値観からベストを選べる。意見の違いは決して悪いことではないと思えるようになるのです。
対話の軸とは、お互いを味方だと信じる力のことです。 「あなた」VS「わたし」の構造では、揺らがない自分の意見こそが軸に思えてしまいます。
けど、そうではありません。
「あなた と わたし」VS「課題」の構造で考えると、軸とはお互いの手を取り合う強さです。握りあった手が、しっかり離れないと信じ合うことで、がんじがらめに絡まった課題を自分たちなりに解きほぐしていくことができるのです。
「簡単に言うけど、その関係を築くのがむつかしいんだよ」 そう思うかもしれません。実際、簡単な人にとっては当たり前で、難しい人にとってはちょっと困難なことかもしれません。
この対話の軸は、まさに筋肉と同じ。 正しく鍛えれば強靭な軸になりますが、何もせずに怠ればどんどん脆弱になってしまう。 一朝一夕で身につくものでもなく、日々の小さな積み重ねで育むしかありません。ただ、強靭に育まれた軸は、どんな困難も夫婦で協力しながら乗り越えられるんだという強い自信になるはずです。
その「対話の軸の育み方」は、またべつの機会に書こうと思います。
▷ 小さな変化を起こすためのヒント
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
さいごに、小さな変化を起こすためのヒントをお伝えしたいと思います。
\小さな変化を起こすためのヒント/
意見が割れたら、深呼吸して「あなた と わたし」VS「課題」になれてるか意識してみる。
自分たちの置かれた状況を、俯瞰した目線で自覚することが、ヒートアップした感情を冷静に落ち着かせてくれます。落ち着くことは、言わなくていい一言を言ってしまったり、衝動的に傷つけてしまう言動の抑止力になります。
また、もし可能なら対話をする前に「あなた」VS「わたし」にならないようにしよう、と夫婦で確認しあってみて下さい。 課題を解決する味方同士なんだと、確認してから対話をはじめるように。 それだけで、対話の質がまったく違ったものになってきます。
議論はしても喧嘩はしない。 「喧嘩するほど、仲がいい」と思うのではなく。 「喧嘩しないほど、仲がいい」のが普通です。
さて、2回に渡り夫婦の対話について書いてきました。 対話の作法。対話の軸。このふたつは、夫婦の関係性をつくるのにとっても大切なことです。 夫婦、親子、友人、仕事仲間。色んな人たちと喧嘩じゃなく、すてきな対話が繰り広げられることを願っています。
今日も読みに来てくださりありがとうございました。 みなさんの家庭が「ただいま!」と帰りたくなる家庭であり続けますように!