こんにちは。家事シェア研究家の三木(Twitter)です。
いよいよGWが始まりましたね! 今年は久しぶりに家族みんなで出かけて過ごすよ、という声がぼくの周りでも多くなっています。 一方、連休中に少し部屋の片付けでもしたいな、と考えている人もいるようです。
今日は、新連載「わが家”最適化”計画!~家族みんなが帰りたくなる部屋にする~」の第一回目。
連休中に片付けをする際にも役立つ、片付けの技術について書いていきます。 ちょっと長いので、目次を付けておきます!
▶ 「片付けの技術」と「部屋づくりの知識」の違い
この連載では「わが家を”最適化”」させる方法について書いていきます。
要は、わが家に適した「いい塩梅」にして行こうよってことなのですが。 そのために伝えることは、大きく2つに分類されます。
それが、
■ 片付けの技術
■ 部屋づくりの知識
です。
「片付けの技術」とは、マインド・スキル・習慣など「人」そのもの。 「部屋づくりの知識」とは、家具レイアウト・収納方法・インテリアコーディネートやデザインなど「知識」のことです。
ちょっと料理でたとえてみます。
料理も片付けと同じように「料理の技術」と「レシピ(知識)」とに分けられます。
料理の技術とは、包丁の使い方、火入れの加減、むら無く混ぜたり、ふんわり混ぜたりする加減、調味料の塩梅や煮炊きするときの時間間隔など。 どんな料理をするのにも、ベースとなる料理力そのものです。
レシピとは、何をどう組み合わせたらその料理ができるのか、という知識。
たとえばハンバーグを作りたいとして。 料理の技術がない場合、レシピを見ても同じように作れません。 「レシピ通り作ったはずなのに、生焼け、焦げた、パサパサ、塩っぱい、形がいびつ」なんてのは、よくあります。
一方、料理の技術を持っていたとしてもレシピを知らなければ、目的とする料理はできません。有名な話で、肉じゃがはビーフシチューを作ろうとしたけどつくり方を知らなかったためにできた失敗作だった、という話もあります(諸説あります)。
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部屋づくりも「片付けの技術」と「部屋づくりの知識」は似ているようで、違うことも多いのです。
「この収納方法、収納アイテムがあれば片付く」というのは「レシピ」を知ったということです。
でも「片付ける技術」がなければ、そのレシピをレシピ通りに活かせない。だからせっかく買ったのに使いにくい、片付かない、写真のようにならない、となる。
また、片付ける技術はあっても部屋づくりの知識がなければ「あの写真にあるような部屋にしたいのに、なんか違う、やっぱり間取りが違うから思い通りにならない」となります。
なぜ、こんな些細な違いについて書いているかというと。
自分がどこでつまずいているかを知ることは、目的に近づくための最短ルートを知ることになるからです。
「勉強が苦手」と悩んでもどうしようもありませんが。 「算数が苦手。中でも割り算ができない」と知っていれば、割り算ができるようになるためにやるべきことが見えてきます。
「片付けが苦手」「センスがない」「部屋を整える方法がわからない」 なんとなくそう思ってしまいがちですが、課題を分けて考えることで改善点が見えてくる。
だから、この連載では「片付けの技術」の話と「部屋づくりの知識」など、どれがどんな課題に直結する話なのかがわかるように、分けて書くようにしていきます。
▶ 知っておけばずっと使える、片付けの手順
「部屋づくり」には効率よく進めていくための手順があります。 その手順は「整理整頓」という言葉によく現れています。
整理:物を適正量にまで減らしていくこと 整頓:物を使いやすく整えていくこと(収納を整える)
よく片付けの本などにもこう書かれています。 そして、この整理と整頓は、名前の通りの順番でやるのが片付け定番のセオリー。
「整理」を終わらせてから「整頓」をする。
これが、どんな片付けの情報を見ても共通している片付けの方法です。
逆はありえません。物が雑多に散らばった状態のまま、収納アイテムを買ってしまい込もうとする。これは、片付けが失敗してしまう”あるある”。
この整理整頓。部屋を家族に最適化させる、と言う視点から、ぼくはこう考えています。
整理:(自分たち家族にとっての)”いい塩梅”を見つける作業
整頓:(家や収納を)最高の日常を過ごすための装置にするモノづくり
家族と暮らしている以上、物をとにかく減らせばいいってわけでもありません。家族と言えど、各人それぞれの価値観があり、それを蔑ろにするわけにはいかないのです。
だから、整理とはただ物を減らしていくだけでなく、まさに家族それぞれの”いい塩梅”を探し出すような作業です。
整頓は、部屋を最高の日常を過ごすための装置にしていく作業です。 まさに自分たちにピッタリの「部屋づくりの知識」を実装していくイメージ。これは、とても楽しいなーってぼくはいつも思います。
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では、家族にとっての”いい塩梅”ってどうやって見つけていったらいいのでしょうか? それにはやっぱり基準があります。
この図は、自分たちの家がどんな状態なのかを示す図です。 部屋は、それぞれの状態によって必要なアプローチが違ってきます。
では、図を見ていきましょう。
①〜⑤のグラデーションになっています。これは「収納に対しての物の量」で測っています。
一言で「散らかってる」と言ってもその感覚は人それぞれです。家族だって「散らかってると思う」「いや、自分はちっとも気にならない」と主観だけで考えると意見がずれます。
なので、これも目分量にはなりますが、ある程度客観的に測れる指標として「収納に物が全部収まりそうか?」を見ていきます。
いい塩梅の分量は、②でも④でも何でも構いません。 が、「部屋を使いやすく最適化させる」を考えると③「収納に物が全部収まるよ」くらいになっていると、その後の作業がやりやすくなります。
ぼくが主催している「お片付けBootCamp!」のコミュニティでは、まずは③を目指そう、と言っています。
これは部屋全体だけのことではありません。 たとえば、机の引き出しを片付けたいときも。引き出しに収まりきらないほどの文具が詰め込まれていたら「使いやすい引き出し」にはなりません。
これは10年以上放置されていた(驚!)、わが家の引き出し。グラデーションで言うと②〜③の状態です。そこにしまうべきでない物まで、適当に放り込んであります。
これが整理した後です。④くらい。収納アイテムを新しく揃えなくても、物が減ると使いやすくスッキリします。 よく見れば、ペンなどもあんまり使わない物もまだあるので、もっと減らすこともできます。
でも、このくらいがぼくにとっての「いい塩梅」です。
▶ いい塩梅を見つけるための物の取捨選択は、「合理性」→「感情」で行く先を決める
お片付けの本ではとにかくこの「整理」が話の中心になります。 そして、いかにして「物の取捨選択」をすればいいか、その基準を示すことこそが、その片付けアドバイザーの特徴であり、腕の見せ所だと思います。
「ときめく物を残す」でも「1年使ってない物は捨てる」でも、自分がやりやすい方法を見つければいい。
でも、ここではぼく自身がどんな基準で物を取捨選択しているかをお伝えします。
それは「合理性」→「感情」で行く先を決める、という方法です。
片付けをしていて、「これ、捨てようかどうしようかな?」と迷うことがあります。そうしたとき、ぼくはこのふたつの質問を自分に問いかけます。
まず最初が、
①「これ使ってる?」
現時点で使っているかどうかを自分に問いかけるのです。 使う頻度は物によって変わります。夏に片付けをしていれば、冬物のアウターは「使ってない」でしょう。年数回しか行かないアウトドアグッズはオフシーズンは「使ってない」でしょう。なので、これは「その物の適正回数ちゃんと使ってる?」という質問になります。
シンプルに、イエスかノーで答えます。
答えがイエスでもノーでも、次にこの質問をします。
②「これ、好き?」
好きか、好きじゃないか、です。好きか、嫌いか、じゃありません。 ここでハッキリさせないといけないのは「好きでも、嫌いでもない」は「好きじゃない」ということです。
この2つの質問の回答によって、その物の行く先を決めます。
■「使ってる」し「好き」→ 残す
■「使ってる」けど「好きじゃない」→ トレード候補
■「使ってない」けど「好き」→ コレクション候補
■「使ってない」し「好きじゃない」→ 手放す
使ってるか、使ってないかは、物に対する合理的な判断軸になります。 それに対して、好きか好きじゃないかは、感情的な判断軸です。
それぞれの答えによって、その物の行く先が変わります。
物の取捨選択で曖昧になりがちで、かつ複雑で難しいのが「使ってるけど好きじゃない物」と「使ってないけど好きな物」です。
これらは「とりあえず取っておくか」とか「一時補完して、期間内に見なかったら捨てよう」など先送りされやすい。
でも、ぼくはこの2種類の曖昧な物こそが、自分の暮らしを最適化させる大事な役割を担っていると考えています。
使っているけど好きじゃない物。 これは、セール品だったから大量購入した、とか、好みじゃないけど貰い物で、とか。デザインが気に入らないのか、いまいち使い勝手が悪いのか、とにかく必要な物ではあるけど気に入らない物でもあります。
こうした物を、厳選したお気に入りにトレードしていくと、お気に入りに囲まれた暮らしに一気に着実に近づいていきます。
急いで買い換える必要はありません。 でも、厳選して、好みの物を見つけ出して、新しく手に入れたら古い物と交換します。
買い足すのではなく「交換」というところが大切なポイントです。
次に、「使ってないけど好きな物」。これも扱いに困ります。 収集が趣味の人ほど、この分野は溢れてきます。でも、好きなら仕方がありません。手放すくらいなら片付けなんかしたくない、と思うくらいに溢れる好きの気持ちは、大切にしたいところです。
▶ 何を、手元に残すか?
大量にある「使ってないけど好きな物」は、外部の倉庫に預けるのがおすすめです。
ぼくもサマリーポケットや、衣類だったらリネットというクリーニング保管をしてくれる業者に預けています。
なぜ、わざわざお金を出してまで家の外に預けるのか。それは「暮らしやすさ」と「好きな物を取っておきたい気持ち」の両立のためです。
物が多くて困ることは何かと言えば「暮らしにくい、検索性が悪い、散らかってイライラしやすい」など。
片付けに限りませんが、何かを手元に残すということは、何かを手放すということでもあります。つまり、物事は押しなべてトレード関係です。
たくさんのコレクションと引き換えに失われているのは「暮らしやすさ、検索姓、心地よい気持ち」などなど。 コレクションを捨てることで失われるのは「コレクションへの熱い想い」。 コレクションを外部に預けることで失われるのは「お金」です。
大量のコレクションも、暮らしやすさも欲しいとなれば、大きな家に住むのも手ですが、きっと外部倉庫を使うより遥かにたくさんの「お金」がかかります。
結局、何を手元に残すか、なのです。
▷ 小さな変化を起こすためのヒント
ちょっと長くなってしまいました。 ここまで読みすすめていただき、ありがとうございます。
さいごに、小さな変化を起こすためのヒントをお伝えしたいと思います。
\小さな変化を起こすためのヒント/ 片付けをするときに「使ってる? 好き?」と自分に問いかけてみる。
今日お伝えした物の取捨選択の方法。 これはとても簡単な方法で、とりあえず今すぐにでも始められます。
じつは、これを家族でどうやって実践するか、そして「手放す」となったときの手放し方など、まだまだ片付けの技術はたくさんあります。
また、次のわが家”最適化”計画! を楽しみにしていてください。