こんにちは。家事シェア研究家の三木です。
家事シェアとは、ただ家事を分担し合うことではなくて「新しくわが家の形を作っていくこと」だと思います。
生まれも育ちも違うふたりが共に過ごすようになると、全然違う価値観や生活習慣がぶつかり合うようになります。 毎日バスタオルを洗わないと気持ち悪い人もいれば、数日に1回でいいって人もいる。起きたらベッドをキチンと整えるのが当たり前な人もいれば、ごちゃっとしたままで何の問題もないって人もいます。
「丁寧に」やることが正解なのではなく、「わが家はどうする?」を決めることだけが必要になる。そして、それを決めていくことこそ家事シェアなのです。
家事シェアのための方法は色々とありますが、今回は「時間術」という視点で家事シェアの方法をお伝えします。
以前書いた「習慣術」も、まだ読んでいない方はぜひご覧ください。
▶ 家事シェアは時間を制する家族ほど上手くいく
今回も、まずは「方法」をお伝えして、それからなぜその方法が有効なのか「理由」書いていきます。
こうしたノウハウは、型となる方法だけを真似てもそれなりに意味はありますが、深くその理由を知ることで、自分たちなりにアレンジしたり、上手くいかなかった原因を掘り下げることができるからです。
ちょっと余談になってしまいますが。 ノウハウを上手に使いこなせる人は、「守破離」を体現できる人だと思います。実際に自分がノウハウを考え、作り、またそれを実践する立場になったときにそれをしみじみ感じます。
【守破離】 剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。
※ コトバンクより抜粋
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
まずはやってみる。そして他にももっと調べたり考えたりしてより良い方法を取り入れてみる。そうした段階を経て自分たちなりの形につくりあげる。
もちろん、家事シェアのノウハウについても同じです。 ぼくがこれからお伝えする方法は、あくまでも一例。まずはやってみて、それからまたアレンジをしてみてください。
さて、脱線が長くなりました。
本題に入ります。
今回伝える家事シェアのための時間術。それは、
「夫婦(家族)が一緒にいられる時間帯の、やらなくちゃいけない家事をタスク化して、それをパラレル家事で終わらせる」
です。
とても簡単ですね。では、どういう意味なのか説明します。
※ パラレル家事とは「〇〇していないほうが、〇〇する」という家事の習慣化の方法です。
詳しくは以前書いた「家事シェアの習慣術」をご覧ください。
▶ 家事育児は忙しい時間帯が限られている!
家事育児は24Hずっと忙しいわけではありません。 1日の中で集中的に忙しく戦場化する時間帯があります。
それは、6〜9時(朝・夕)。朝起きてから家族が出かけるまでの2〜3時間と、子どもが帰ってきて夕飯の支度から寝かしつけまでの3〜4時間。
この、家がカオスになってしまう時間帯を「家事育児のゴールデンタイム」と呼んでいます。 ※ 働き方や生活習慣によって時間帯はそれぞれズレるでしょう。
たとえば、パパの帰りが22時をいつも過ぎてしまうというご家庭の場合。 帰ってきたらもうほとんどやることがない、なんてのはよくある話です。
つまり、このゴールデンタイムに家事育児をシェアできることで、負担感はかなり軽減することができるようになります。
ただ何となく家事を「得意・不得意」「できる・できない」で振り分けるよりも、ちゃんと負担の大きな箇所にターゲットを定めてシェアする方がずっと効果的です。
負担の大きな箇所の定義はそれぞれで、「得意・不得意」というスキルや好みで分けるのもひとつのやり方です。でも、それだけだと「たまたま上手くバランスが取れてる夫婦」以外は大きな偏りが出てしまいます。
「車の掃除と、DIY、保険など家計や帳簿の管理」が得意なパパ。 「料理、片付け、洗濯」が得意なママがいたとして。 家事シェアを得意・不得意だけでわけようとすると、ゴールデンタイムの慌ただしさをほとんど軽減できません。
だから「うちは家事シェアなんて全然できてない」と思っているママと、「俺だってやれることはちゃんとやってる」と思うパパ、というすれ違いがおきてしまいます。
なので、得意・不得意は一旦置いておいて(後で出てきます)まずは「わが家の家事育児のゴールデンタイム」がいつなのかを見定めましょう。
おすすめは、平日の朝です。
夜の時間帯に比べて、夫婦が一緒に動ける率の高い時間帯だからです。 その他、どうしても平日の時間が合わない場合は、休日に設定してもOK。
たとえば、土曜の朝は溜まった家事を終わらせるため、みんなで家事する時間にするとか、休日の夕飯前後の時間はみんなで家事を終わらせるようにする、など。自分たちにあった時間帯を選びましょう。
▶ 家事タスクは全部書きだしても、家事シェアするには非効率的!
ニュースレターをお読みの方の中には、「家事タスク表」を作成したことがある方もいるかもしれません。
家事タスク表は、家事の無駄を省くのにはとても効果的です。100個、200個と思いつく限りの家事を洗い出して、不要な家事を消していく。とても時短になるし、大切なことに絞って家事をスッキリさせることができます。
ただ、これを「家事シェアのために」書き出すのだとしたら、非効率的です。
以前、家事を全部書きだして、妻と夫でどっちがやっているかを色分けするのが流行りました。あれによって「ああ、自分は4割くらいはやってるつもりだったけど、実際は1割程度しかできてなかったんだ」と反省して、家事をやるようになったという夫の話も聞きます。
でも、それはごく一部の前向きな夫。 それ以上にパパ講座などでよく聞くのは「正直、ドヤられて終わった」「感謝はしたけど、あんまり変わらなかった」などの意見。
家事分担をどうにかして5:5に近づけようとする、そのアプローチ自体が結局家事シェアにはつながらないという結果になってしまうのです。
せっかく書き出すのならできるだけ実用的なものにしたい。
だから家事シェアのためのリスト作成では、全部の家事を書き出すのではなく家事のゴールデンタイムにやらなくちゃいけない家事タスクに絞って洗い出します。
ゴールデンタイムに終わらせなくちゃいけないタスク。 それを、家族みんなで手分けして終わらせる。
たったそれだけのことで、家事シェアの満足度は俄然UPします。
▶ 家事の洗い出しは「ミッション単位」で!
家事シェアしたい時間帯を決めたら、その時間帯にやらなくちゃいけないタスクを書き出してみます。 例として、わが家の平日の朝家事で考えてみます。
だいたい平日の朝は同じことの繰り返しになります。何をやってるかな〜と考えながら書き出して行くのですが、結構な数になります。
このとき、このまま洗い出したタスクを夫婦で振り分けても実用的ではありません。内容が細かすぎるんです。細かすぎれば、覚えられず実用性が減ってしまいます。
なので、この書き出したタスクをミッションにまとめていきます。
タスクとミッション? ちょっとわかりにくくなりますね。 イメージとしては、「ミッション」とは「いくつかのタスクの集まり」です。
たとえば、ゴミ捨てというミッションがあったら。
【ミッション:ゴミ捨て】
□ ゴミの日チェック
□ 家中のゴミ箱をまとめる
□ ゴミ袋の再セット
□ ゴミを捨てに行く
など、細かなタスクの集まりのことです。 これらを全部タスク別に「ゴミの日チェックはママ」「ゴミまとめは子ども」なんてやってたらキリがありません。
なので、洗い出したタスクはミッション単位に。
こうした家事タスク表を実用的にするためのコツは、いかにシンプルで簡単にするかです。見なくても覚えられる程度のまとまりにして洗い出しをしましょう。
▶ 家事のゴールデンタイムからズラす!
家事のゴールデンタイムは、時間が限られている上にやることがいっぱいで忙しくなりがち。その時間帯になんでもかんでも詰め込むと「できない! イライラする!」となるのは当然です。
なので、書き出したミッションが多いなと感じたり、みんなで手分けしたときにうまく入り切らないとわかったらゴールデンタイムからズラしてみましょう。
このとき、朝のゴールデンタイムから夜のゴールデンタイムへとズラしてしまうと、結局夜忙しいってことに。
どうズラしていくかも、家庭ごとに工夫のしがいがあるところですが。 わが家では朝やっていた洗濯をズラすことにしました。 夜のゴールデンタイムが終わるころ、洗濯&乾燥の予約をセットします。
洗濯&乾燥の予約タイマーもいくつか設定パターンがあるので、ちょっと余談ですがご紹介しておきます。
◎ 夜のたたむ時間に合わせて予約
予約タイマーを20〜24時間後に設定。
翌日の夜時間に合わせて設定すれば乾燥終わりのふわふわの状態でたたむことができます。
デメリットは洗濯物を長い時間洗濯機の中に入れっぱなしになること。
あんまり湿気っている洗濯物や梅雨の時期はカビに注意。
◎ 朝に洗い上がるように予約
洗濯物を長い時間洗濯機に入れておくのは抵抗あるという場合は、朝乾燥まで終わるようにタイマーセットしても。ただ、そうすると朝たたむ時間がとれない場合はちょっとしわくちゃになってしまうリスクもあります。
◎ 朝洗濯機を予約して、夜のたたむ時間に合わせて予約
朝、少し時間に余裕があるという場合は、朝に予約して夜乾燥を終えるようにセット。
夜乾燥が終わった洗濯物をふわふわのまま畳むことができます。
◎ 乾燥機に入れたくない衣類などは休日にまとめて
中には乾燥機に入れずに外干ししたい洗濯物もあります。
そうした物は休日の「晴れ」を願いながら(笑)休日にまとめて洗濯して干しています。
上記はあくまでも一例です。 ぜひ、色々と時間をズラすための工夫を考えてみて下さい。
また、ゴールデンタイムの家事を諦めることも大切になってきます。 たとえばわが家では、食器拭きは諦めて水切りカゴに入れたままで終わりにしています。 もちろん、ご家庭によっては朝食の洗い物は帰宅してから、とするケースもあると思います。
他にもわが家は、朝食の家族団らんを辞めました。テレビドラマなどで、よく家族そろって朝ごはんを食べている姿をみますね。ぼくも子どもの頃はそんな感じでした。でも、共働きで慌ただしい朝にそれをするのはちょっと大変。 家族の団らんは夜や休日だけにして、朝は大人はそれぞれが適当につまんで終わり、としています。
▶ 家事の手分けはパラレル家事で
さて。ここまででだいぶゴールデンタイムの家事を絞り込むことができたと思います。
そしたら、それをいよいよ「家事シェア」していきます。
この家事シェアの目的は「ゴールに向けて協力しながらミッションをこなす!」です。
そして、手分けする際のコツはパラレル家事。
「〇〇していない方が、〇〇する」
このルールをベースに家事をシェアしてみてください。
さて、シェアする上でのポイントが2つあります。
◎ 「できない」と思考停止しない
「できる、できない」をあんまり言い過ぎると、何も進みません。「できない」は、できないで終わらず「どうすればできるか」を考えなくてはなりません。
たとえば「朝起きられない」。 これは非常によく聞く悩みです。「朝が弱くて、身支度ギリギリまで寝てしまう」。 厳しいようですが、それはあまりにも責任感がなさすぎです。朝起きられなくて仕事に遅刻ばかりしていたら会社での信頼はどんどん失われていきます。 ※ 病気や繁忙期などの事情がある場合は別
家庭においても同じと考えましょう。もしパートナーが不在で子どものお弁当や身支度を済ませて、保育園に送り届けるのがあなたしかいなかったら。 前日に早めに就寝する、目覚ましを早めにかける、などどうにか工夫して起きるはずです。 あなたが「起きられない」と言っている横で、パートナーは眠たくても起き、家族のために朝の支度をしているのです。 そのことに対する「感謝」は大切ですが、「責任感と行動」はもっと必要なことです。
◎ 「得意・不得意」は手分けを考える上で参考になる
一方「得意・不得意」があります。とくに「得意」については積極的に引き受けるようにすると、シェアがスムーズになります。
ただ「不得意」については、ほどほどに。自分の不得意が相手の得意の場合はラッキーです。でも、お互い不得意だったり嫌だったりする家事もある。
その場合は「どうすれば、不得意なりにできるかな?」を工夫しましょう。
たとえば、料理が不得意なのに朝ごはんをつくることになった場合。 何も、ごはんを炊いて魚を焼いて、お味噌汁作ってなんてする必要はありません。 「朝ごはん担当」として、責任を持って帰りにスーパーで「パン」を買ってくるとか。毎朝お味噌汁くらいなら作れるなら、前日の残ったごはんと味噌汁、それに鮭フレークや海苔の佃煮なんかのごはんのお供を用意して、それをわが家のルーチンにしてしまうとか。 トーストを焼くだけで、後は各自が好きなジャムやバターで食べるとか。
簡単にする方法はいくらでもあります。もし、パートナーがその簡単な方法を気に入らないようなら、こだわりのある方が朝ごはん担当をすればいいのです。
これらを参考に、ゴールデンタイムの家事シェアをぜひやってみてください。 相手を自分の言いなりにコントロールしようとする家事の分担方法と違って、連帯感を感じることができるはずです。
大げさに言えば「この人と一緒に暮らしていてよかった」という思いが芽生えるのが、この家事シェアです。
▷ 小さな変化を起こすためのヒント
ここまで読みすすめていただき、ありがとうございます。
さいごに、小さな変化を起こすためのヒントをお伝えしたいと思います。
\小さな変化を起こすためのヒント/ 家事のゴールデンタイムの家事を少なくしてみる
朝、夕方のゴールデンタイムが忙しすぎて目が回る。としたら、その時間にやろうとしている家事育児が多すぎる可能性があります。 シェアは、それを手分けして終わらせる手段としてとても有効です。でも、まずは「やらなくていい家事」をズラしてみたり、諦めてみましょう。
こうして圧縮されたものを、全部じゃなくていい。最初は少しずつでもいいから家族でシェアするようにしてみてください。
お子さんの年齢によっては、子どもたちも巻き込みながらシェアしていきましょう。
子どもにとっても大切な学びの時間になるはずです。
今日も読みに来てくださりありがとうございました。 みなさんの家庭が「ただいま!」と帰りたくなる家庭であり続けますように!