10年先まで役立つ、夫婦対話の作法

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。

夫婦と言えど、もともとは赤の他人。何でもかんでも意見や価値観がぴったり同じなんてことはありえないわけです。

夫婦や家族が、意見がまったく違ったとしても喧嘩にならずに対話ができる人たちと、すぐに険悪な雰囲気になってしまう人たち。その違いってなんでしょうか?

そこには、夫婦対話における大切な作法があります。

今回は、そんな夫婦対話における作法についてお話します。 タイトルにあるように、10年先まで役立つ作法です。なんとなく10年としましたが、本音としては一生役立つことだと思っています。

結婚してから12年。NPO法人tadaima!を立ち上げてから11年。 夫婦の対話について、学び、話を聞き、実体験としても実践してきました。よく驚かれますが、夫婦喧嘩は一度もありません。意見が対立することは何度かありましたが、喧嘩にならず、対話を通して解決してきました。

なぜ、一度も喧嘩にならずに対立を解決してこれたのか。

コミュニケーションのノウハウや手法は、色んな方々が山のように考えられています。心理カウンセラーの方、コミュニケーション研究をされている方、弁護士の先生など。 そうしたすばらしいノウハウは、提唱している方々の意に(おそらく)反して手法の部分ばかりが注目されがち。 ですが、どのノウハウにも共通する大前提となる軸と作法があります。 それを無視して、言葉尻だけ工夫してもあんまり意味がありません。

夫婦の対話をする上で大切にしてきたのは枝葉のノウハウよりも、この軸と作法の方でした。「対話」とは言わば生もの。

関係性、お互いのキャラクター、その場の雰囲気、議論のテーマ、時期、体力、ストレス。ありとあらゆる要因が影響してきます。 前回はうまくいった対話の手法が、今回はちっともうまくいかない。 いつもなら、こう言っても笑い合えたはずなのに、今日は険悪な雰囲気になってしまった、なんてこともあります。

対話は、手法より作法。

軸がしっかりとブレずにあり、その上で作法がある。だから、どんな状況でも事を荒げることなく進めることができるのだと思っています。

さて、前置きが長くなりましたが。 今日お伝えするのは「こう言えばいい」という手法ではなく、それを対話に活かすための作法です。 そして次回、「対話の軸」について書いていきます。

ノウハウという武器を手に入れる前に、対話の体幹を鍛えていきましょう。

Contents

▶ 夫婦は喧嘩するほど、仲が悪い!?

「夫婦は喧嘩するほど、仲がいい」

子どもの頃聞いたこの言葉の意味が、ずっとわかりませんでした。

———だって、仲が悪かったり、嫌なことがあるから喧嘩はするんじゃないか。

大人になり、恋人と喧嘩をすることもありました。その後仲直りしたとしても「あの時の喧嘩があったからお互いより良い関係になれたね」なんて思うことは一度もなく。思うのは、なぜ「喧嘩」という形でしかお互いの思っていることを表現し合えなかったのかという後悔だけ。

でも、大人は言います。

「それはまだ、若いからだよ。結婚してずっと一緒に暮らすようになればわかるよ」と。

良薬口に苦し。対話という薬も、苦いほど、嫌な味がするほど効果的なんだろうか。

だけど、ぼくはひとつの疑問を持ってしまいました。いや、疑問を持ったというか、気がついてしまったと言う方が近いかもしれません。

それは「喧嘩をする夫婦ほど、幸せそうには見えない」ということでした。

▶ 対話の前に言い聞かす「夫婦対話の作法」とは

これまで数え切れないほどのご夫婦の話を聞いてきました。

そして、驚くほど多くの方が「喧嘩するほど仲がいいって言いますもんね」と口にします。

最初は冗談かと思いました。自嘲気味に冗談めかして口にする方もいれば、本気でそう思っている風の方もいる。そして思ったのです。

———ああ、この言葉は喧嘩ばかりしてしまう自分たちの「拠り所」になっているのか。

喧嘩ばかりしてしまう自分たち夫婦を、ある意味で慰めてくれる。そう思うことで、してしまった喧嘩も肯定される気がする。そういうことなのかもしれません。

そんな拠り所を否定してしまうのも酷ですが、この言葉に寄りかかっていてはいつまで経っても夫婦喧嘩はなくなりません。

主観になってしまいますが、ぼくが色んな話を聞く限りでは。

喧嘩をしない夫婦ほど「夫婦喧嘩は絶対によくない」と信じ、喧嘩してしまったことを反省し、もうしないようにしようと2人で話し合っています。

そして、喧嘩ばかり絶えない夫婦は、途中で対話から逃げてしまったり、取り繕って誤魔化そうとご機嫌取りをして解決しようとしたりしてしまうことが多いようです。

このような話をたくさん聞き、ぼく自身思い当たることがありすぎて反省しました。 妻との対話から逃げようとしてしまったり、ごまかそうとしたり、適当にご機嫌取りをしようとしてしまった。その都度、妻はぼくに「話をちゃんとしないとわからない」「言わないってことは、意見がないってことだって思うけどいいの?」と言ってくれました。

正直に言うと、最初は妻が何を言ってるのかわかりませんでした。自分が対話から逃げているなんて自覚すらなかったんです。

言葉が出ずにムスッとするぼくに、妻は辛抱強く問い続けてくれました。 そして、少しずつ妻の言っていることが理解でき、色んな夫婦喧嘩の事例が自分の中に浸透しはじめたのです。

その結果、対話をする上でお互いが大切にしなくてはならない作法があることに気が付きました。

・対話から逃げない
・ご機嫌取りに走らない
・適当に取り繕ってごまかさない
・共に問題解決をする関係だと信じる

この4つが、夫婦で対話をする上での最低限の作法です。

どれも当たり前のことのように思えます。 ぼくも、妻に指摘されるたびに「そんなことはわかってる」と思い続けていました。

「対話から逃げてなんかない」
「ご機嫌取りじゃなくて、雰囲気をよくしようと思ってるんだ」
「ごまかしたんじゃない。うまく言葉にならなかっただけだ」

どれだけぼくがそう思っても、対話の相手に「逃げてる」と思われている。だとしたら、ぼくの態度には何かしらの問題があるということです。

まずは、自分が自覚をするところから。

「この話、面倒くさいなぁ」 「適当にあしらっとけばいいか」 「なんでわからないんだろう、やってらんない」

自分の内面を素直に観察していると、正直にそう思っている自分と対峙することがあります。まずはそう思っていることを自分で受け入れること。それが作法を身につける最初のステップでした。

作法とは型のことです。ぼくは対話する上での礼儀や姿勢という意味で使っています。 この作法を身につける上で役立ったのが、作法の最後に書いてある「共に問題解決をする関係だと信じる」でした。

これは次回お話する「対話の軸」に繋がっていくのですが、まずはスタンスとして信じ切るというのはものすごく大切です。

この「対話の軸」こそが、家事シェアにつながる部分。 家事シェアってなんのためにするの? という答えであるとも考えています。

次回は、コミュニケーションのすれ違いを減らすための手法も交えてお伝えしていきます。 喧嘩せずに、普通に話し合いで気持ちよく物事を決めたい。 良かれと思った発言が、相手を傷つけてしまうのをなくしたい。

そんなコミュニケーションのコツを楽しみにしていて下さい。

▷ 小さな変化を起こすためのヒント

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

さいごに、小さな変化を起こすためのヒントをお伝えしたいと思います。

\小さな変化を起こすためのヒント/
大事な対話のときは、TVを消して、話を聞く姿勢を整える

小さなことですが、話を聞く態度ってものすごく大事です。 相手が大事な話をしているのに、目線はTVを見ながら相槌を打っていたら、どれだけ話をちゃんと聞いていたとしても、相手は不快です。

でも、TVを消して、背筋を少し伸ばして「〇〇の話だよね」と議題をひと言口にしてみる。

その1秒で、場の空気が変わります。 落語家さんが、枕から本題へと入っていく際に羽織を脱ぐことがあります。その所作ひとつで聴衆はググッと引き寄せられます。 それと同じで、話し合う姿勢を整えると適当な話し合いにならなくなるのです。

対話をするときの空気は、そのまま対話の良し悪しに作用します。

とても簡単なことなので、ぜひ意識してみてください。


今日も読みに来てくださりありがとうございました。 みなさんの家庭が「ただいま!」と帰りたくなる家庭であり続けますように!

三木智有

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    この記事を書いた人

    三木智有のアバター 三木智有 家事シェア研究家

    ➽「家事シェア」を広めた人。 ➽WORK NPO法人tadaima!代表|お片付けBootCamp!主催|講演800回|モヨウ替えコーディネート|執筆業|TV、ラジオ、雑誌 ➽LOVE 書くこと|仏教|座禅|怪談|料理|写真|読書|散歩|自宅トレ|クラシック|小さい暮らし 📣最高の家庭になる家事シェア術を発信

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